禅と森から経営へ〜本質は東洋の心に〜

「内省と対話というテーマで森の話をしてほしい」

そんなお話をいただいたのは、夏前のこと。

前々から人事を尋ねると聞いたことがあった、ミンツバーグ教授のマネジメント論
この時初めてどんな内容なのかを知りました。

企業のマネージャーはヒーロー型のリーダーではなく、日々の実践を大切にする
共感型(Engagement)こそがマネジメントの本質である。

先日開催された、リフレクションラウンドテーブル世界大会のオープニングでは
ジェイフィール小森谷さんコーディネートの元、曹洞宗国際センター所長 藤田一照和尚
エクセター大学ビジネススクール名誉教授Jonathan Gosling氏と一緒にオープニングスピーチをさせていただきました。

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会場は、世界から組織開発に携わる企業人が集まり
教える、教わる、のスタイルではなく
みんながスピーカーを囲み会場一体で分かち合うスタイル。

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初日のテーマは「内省と対話の本質〜東洋から学ぶ」

藤田一照和尚は、流暢な英語をお話しされる方で
・Mindfulness
・Looking Deeply
・Inter being
・Compassion&Loving-Kindness

4つのキーワードをテーマに、内省と対話に関連させ説いてくださいました。
瞑想はGO WILDだ。という言葉が大変印象に残っています。

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Inter being 全ては繋がっている。

わたくしからは、スライドで写真をいくつかお見せながら
森の多様性や循環を、人間社会、企業組織に置き換えながら
森が教えてくれる本質についてお話をさせていただきました。

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ジョナサンさんはプラトンの『国家』の末尾にある神話を引きながら
リフレクションの原意について語ってくれました。

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この素晴らしい機会をわたしに与えてくださった小森谷さんに
心から感謝を申し上げます。ありがとうざいます。

ーー
この機会に、禅、森、組織についてわたしなりにいろいろと考えました。

今、企業の人材育成は、「こころ」にフォーカスを当てたプログラムが増えています。
そのこころは、heartの「こころ」ではなく、spirit、mindといった精神・魂を意味する「こころ」

最近では、研修に坐禅を取り入れたり、自己啓発に禅を学んだり
国内外関係なく、禅の精神に注目が置かれているようです。

今ここにある自分、起きていること、と丁寧に向き合う

禅は日本人には当たり前の精神だったはずですが、禅を求める人が増えているのは、
自分がどこにあるのか、何が起きているのか
心が彷徨っている人が増えている象徴なのかもしれません。

わたしが教わってきたことが間違っていなければ、
坐禅は、何かの目的のための手段として坐るのではなく、
坐禅そのものが目的であり、坐ること自体に集中すること
(中学高校は仏教校でした)

彷徨うこころが収まるのなら、坐禅は現代の支えとなるのかもしれません
しかし、生産性を上げるためのものではないはず。

登山やトレイルランニング、キャンプ、など自然を求める人が増えています。
気分転換、リフレッシュ、心の健康や身体の健康
最近では、森林医学という分野ができ、森が人に与える効果が医学的にも実証されています。

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人は地球上に誕生してから約500万年の時間を森で過ごしてきた生き物
身体は森が生んだ空気を吸い、森が吸収した水を飲み、森の恵みを食べてきました。
わたしたちが、森の中にいると心も体も心地よいと感じるのは
森そのものが、身体の源だからなのでしょう。

TIME FOREST(森の時間)は現代人に必要なTIME FOR REST(くつろぎの時間)

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D(ドライブ)でもR(リターン)でもなく、N(ニュートラル)

こころと体がフラットな状態に戻れる場所

森は癒される場所ではなく
癒されていない自分に気がつくことができる場所

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いろいろな人が集まる組織の中では、競争しあいながらも力を合わせ
会社の掲げるミッションをこなし利益を追求していきます
3年、5年の事業計画を見据えながら、今月、今週、今日のタスクをこなしていく

健康な企業の基本は、働く社員が健康であること

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いろいろな生物が住む森の中で、木は競争しながらも共生し
循環を繰り返し太陽に向かい成長していきます。
そんな森づくりは、100年後の森を想像しながら
自然のリズムと共に今生きている森に必要なの手入れを行っていく

健康な森は、一本の木がしっかり根を張り、強い土壌が育っている

大きな会社に入っても安定という働き方は見えない時代
3年後、5年後の自分がわからない。
そんな時代は、何をしてもよい、やりたいことをやってよい
ということなのかもしれません。

会社に行かなくてもPCと携帯があれば
人に会わなくても仕事ができる

手間のかかっていたことは、ITが簡単にしてくれる
人がやっていることは、ロボットが力をかしてくれる

どんどん新しい技術が生まれて
採用基準からWord.Excelが使えるという文言は消え
去年使ってた携帯は古くて対応できない
最新の知識がない人は使い物にならない
そんな感覚も、なんとも感じなくなるのかもしれない。

人ってなんだろう。
こころって、感情ってなんだろう
わたしってなんだろう。

命の美しさを感じることができる人間は、きっとそう思うのでしょう。

当たり前だったこと、がわからなくなったとき
理屈を述べず、絶対に嘘をつかず、繰り返される命の姿に、
人は自然と引き寄せられるのではないでしょうか。

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森は、シンプルに教えてくれる。

人間の取り扱い説明書が知りたいときには
森をたどればわかるかもしれませんね。笑