森林浴はエビデンスが大切なの?『あたらしい森林浴』出版記念イベント

8月18日 あたらしい森林浴で見つける「日本の心と幸せな働き方」

8月18日、『あたらしい森林浴』の出版記念ベントを開催しました。
お盆休みの最終日にもかかわらず80名程、内田洋行 ユビキタス協創広場 CANVASに集まってくださいました。本当にありがとうございます。

今回のイベントは、私が執筆をしている時から、この3人でお話をしたい!とずっと思っていたゲスト2人にお声がけさせていただき、3人でトークセッションという形のイベントとなりました。

今回のゲストはこちらのお2人!


左:株式会社働きごこち研究所 代表の藤野貴教さん 右:曹洞宗僧侶の藤田一照さん

まずはじめに、
小野より「あたらしい森林浴の期待」と題してお話をさせていただきました。

・日本は世界で2番目に森林率の高い国であり、今、森がもっとも豊かな時期であること。
・木材価格の低迷で50-60年の杉の木は1本、牛丼一杯、大根1本分にしかならないこと
・森林浴の医学的効果について
・森林浴を活用した研修の内容
・海外でShinrin-yokuが注目されている話や、日本独特の自然観
などお話をさせていただきました。

諸々は書籍に書いてありますので、ぜひ『あたらしい森林浴』をお読みくださいませ。笑

海外での取り組みをみていると、日本人と森の関係はとても特徴があるなぁと思うわけです。
八百万の神のいる日本は、自然界の至る所に神の存在を感じたりします。

続いては、そんな日本人の心について、曹洞宗僧侶の藤田一照さんからのお話。

一照さんとは、2016年、株式会社JFEELさんが主催する組織向けのイベントで一緒に登壇したことがきっけで知り合いました。娘さんが林学を専攻していることや、昔から森の近くに住んでいることもあり、森との共通点がいっぱいです。森林浴について「内なる森と、外なる森」と題して仏教的な視点からとても興味深いお話をしてくれました。

・“日向ぼっこ”という言葉があるように、日常にあり、森を感じて、森ににさらす感覚なら、“森ぼっこ”と言うのはどうだろうか?
・森林浴は私たちの知っている世界でなくは、未知な世界に飛び込む感覚、これは禅と同じ。息や体や心から学ぶという姿勢。こちらがラーナーであちらが先生という感覚。
・未知との遭遇 learning edge
 ーいつも「初心者」でいること・・・私たちの知っている世界でなくは、未知な世界に飛び込む感覚
 ー森が先生・・・森から学ぶという姿勢
 ー時間の浪費ではない・・何もしないは浪費ではない
 ー哀しみ・悲嘆の受容・・・いろんな感情が湧き上がってくるのは必要な感覚。受容していくこと。
 ーケアの心
 ーnegative capability しない能力
・森の中で修行をしているForest monkのお話
・ナウシカの原作(漫画)に出てくる森の人のお話

などなど。

3人目の登壇は、ワークスタイルクリエイターの藤野貴教さん
藤野さんは2年前、『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』を出版され、テクノロジーの時代における働きごこちを研究されており、大手企業の経営者、管理者に向けて研修を行なっています。2年前に身体性、感性、直感を磨くと言うテーマで「テクノロジーに近づく、テクノロジーから離れる」と言う内容の研修を一緒に企画したことがありました。
藤野さんの話はとても面白く、会場が引き込まれていきます!”AIと人間の違い”についてとてもわかりやすく話してくれました。

AIと人間の違い
・人間とAIの大きな違いは、人間には”身体がある”こと。身体感覚があるから感じられることがある。
・人間の腸内細菌までテクノロジーで表現できないと、同じものはできない。
・AIは学習を鵜呑みにする。(なんで?とは言わない)なんで森に行くの?という問いを持つのが人間

AI時代を幸せに生きるためには?
・テクノロジーを体験することが大切。頭でわかればいい、VRで見ればいいではなく、最終的には身体で感じることが大切。なぜなら、腑に落ち、腹に落ちるから。
・スマホが人間をダメにするなんてのはダメ。この時代の中で、どう人間らしさを大切にしていくかを考えていくことが大切。
・森の中で全くデジタルから離れて生きることもできるけど、身体の声を聞くことと、テクノロジーを知ること、両方行うことが大切。
・そして、ここでまたナウシカ原作漫画のお話!知識と戦う人間の様子

一見難しそうなAIの話を、とてもわかりやすく且つ笑いを誘うトークで、あっという間に登壇の時間が終わりました。
まさか2人ともナウシカの話をするとは、おそるべしナウシカ。笑

3人の登壇の後は、3人のセッションです!
セッションではたくさんの話をしたので書ききれませんが、大きく3つの視点でお話をしました。

・森から学ぶとは?
・森林浴はエビデンスが必要?
・森林浴の価値を伝えていくためには。

・森で学ぶ、森を学ぶではなく「森から学ぶ」という意味、これは禅を学ぶのと同じように、学ぶ姿勢が大切。
・学習的な学びの多い現代人は、赤ちゃんが生まれてから立つこと、話すことを学ぶような学び(オーガニック・ラーニング)が必要。(参考:藤田一照著『ブッタが教える愉快な生き方』
・森林浴は身体への効果がエビデンスとしてわかったことで、価値を見直されているが、それが目的になっては効果も半減するのでは
・明治神宮、伊勢神宮の森を歩くときに感じる感覚、日本人は健康効果だけでなく感じるものがある
・言葉では伝えにくい感覚、効果も、伝える役割の人は、丁寧に伝えることが大切
・近代に生きる私たちが、古くから伝わる森林浴を体感するには、バージョンアップして伝えていくことが大切では?(補習授業のような)
・森林浴はブームにすることで、本物が求められるようになる

その後、質疑応答へ。

とても面白いセッションだったので、そのうち動画をアップしたいと思います。

と、こんなにもお腹いっぱいなイベントを開催できたのは、お手伝いをしに駆けつけてくれた仲間と、素敵な会場を提供してくれた内田洋行様(スギダラケ倶楽部 高山さん)、京都より駆けつけてくれた学芸出版社 岩切さんのおかげでございます。本当にありがとうございます。
本もたくさん売れました!!

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イベントが終わり、あー楽しかったー!満足ー!
と思うかと思いきや、実のところ、終了後モヤモヤが残りました。

たくさんのお祝いの言葉や、激励をいただく中で、「なぎさの話、面白くなかった」と、そんな感想をいただきました。
私の想いや活動をよく知ってくださっている方から見ると、言いたいことが言えていないのでは?主義主張が伝わってこなかった。という意味の言葉でした。

何度も何度も当日の音声を聞き直しました。

確かに、本に書いてあることばかり話していたな、と反省。
森に入ってエビデンスが取れたという事実は、もう10年以上も前の話で、私はここに新しさを感じている訳ではない。
健康効果がわかっている中で、森林浴のあたらしさを見いだし、伝えていくことが私の役割。
モヤモヤのおかげで大切なことに気づくことができました。

もー、次からは本の話はしません。笑

次回以降のイベントも、お楽しみに!!!